農業経済学とは何か

はじめに

この記事では農業経済学とはどのような学問なのか、他の学問と比べどのような位置づけになっているのか、どのような歴史を辿ってきたのか、学びことにどのような意義があるかなどを説明していきます。農業経済学という言葉は知っているけど、基礎的なことを含め、他のことは何も知らないと言った人におすすめです。

1、日本における農業経済学の歴史

日本における農業経済学の歴史は北海道大学に始まりとされています。北海道大学の前身である札幌農学校の農学科に置かれた農業経済学教室が最初の始まりとされています。

武士道で有名な新渡戸稲造が最初の教室主任であり、日本初の大学のゼミナールである農業経済学演習を担当したそうです。その後、1919 (大正8)年4月に北海道帝国大学として再発足した折に、農業経済学教室は農学部農業経済学科として独立したそうです。

その後他大学にも広がっていくことになります。

2、農業経済学のどのような学問か

農業経済学の定義は様々あると思いますが、『農業経済学の招待』という本でこのように定義されています。

“農業経済学を定義するならば、農学の一分野として,農業と食料をめぐる経済的諸現象(生産,加工,流通,消費,需給),および農林業にかかわる環境問題について,経済学,社会学,法学など社会科学の成果を応用して解明する学問ということができる.”(太田原、三島、出村,1999)

農学というと、作物がどのように育つか、育てるか、科学的に土をどのように作ればいいのかと言ったことを行っていると言ったイメージが多いかと思います。もちろん、それも代表的な農学です。しかし、このような研究や開発された技術も実際に役に立たなければ意味がありません。そして、農業も現在に置いては経済活動の一部として営まれています。この経済的側面を考慮しなければ、せっかく開発した技術や研究もうまく使うことができません。

この、開発した技術や研究を実世界、経済の市場経済に適応されるためにはどうすればいいのか、これを考えるのが農業経済学と言えそうです。

3、農学の中での位置づけ

農業経済学は農学部の中で、様々な研究や開発されたものを統合して、経済的、経営的に考え、政治的判断を下す要の地位にあるとされる。農業経済学の招待』では例えとして、この存在の仕方を『野球やサッカーでいう「監督」の立場にあるという。個々の選手(個々の研究)がいかに優れたものを持っていたとしても、監督の采配が悪ければ勝つことができない。この采配の担うのが、農業経済学であるということだ。

4、農業経済学と他分野の関係性

農業経済学はその性質から、環境経済学と複合的に考えられることが多いです。農業経済学が対象とするのは、市場経済の中でも農林業のものです。農林業には人間に有用な食料や林産物の供給という側面もありますが、自然、国土、景観を保全し、

人問に快適な環境を与えるといった機能もあります。このような多機能的な側面は環境資源としてもいうことができ、環境経済学からの検討も十分に考えられるからです。

5、農業経済学を学ぶことの意義

農業経済学は学ぶことの意義として、食料不足問題が挙げられます。現在、世界には約70億人の人がいますが、2018年に発表された国連の調査によれば、世界人口の9分の1、世界で約8億人以上が飢餓の状態にあるとされています。一方で先進国では飽食の時代とも呼ばれており、この分配問題は大きな問題となっています。この問題について農業経済学から考え、解決方法を見出す一助になるというのは農業経済学を学ぶ大きな意義と言えそうです。

まとめ

以上、農業経済学の歴史から見て、現在に置いての位置づけ、そして学ぶ意義を触りでしたが、見てきました。

これから、農業経済学を学び始めたいなと思っている人などに参考になれば嬉しいです。

農業経済学とは少し離れますが、農耕が始まる前、狩猟社会に置いて人間はどのような生活をしていたのか、そんなことが書いている本『本当の豊かさはブッシュマンが知っている』の書評をしています。こちらに載せていますので、よければ参考にこちらをクリックしてみてください。

About the author

衣食住、旅人本に興味がある。アウトプットメインですが読んでいただければありがたいです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。