セイナッツァロの村役場とコエタロの現地情報と考察ーアアルトの建築を巡ってー

この記事ではフィンランドの小都市であるセイナッツァロの村役場に向かった際の現地情報を備忘録として載せつつ、紹介していきたいと思います。

セイナッツァロの村役場についてよく知りたい、現地ガイドの言葉や情報を知りたいという方にはお勧めできる記事になっていると思いますので、興味ある方はよければご覧ください。

この2つの建築に関しては事前の準備をよくしておかないと十分に楽しめない建築であることがわかりました。

特に実験住宅であったコエタロはツアーに予約しないと入ることすら許されない建築であることがわかりましたので、そのあたりもこの記事でお伝えできればと思います。

目次は以下のようになっています。

1、セイナッツァロの村役場について

まずはセイナッツァロの村役場について紹介していきたいと思います。個人的に、この建築は自分が今まで見たアアルト建築の中でNo.1に好きな建築でした。その理由も探りながらまず、その歴史を見ていきたいと思います。

1−1、セイナッツァロの村役場の歴史

サイネツアロー市庁舎の計画は、1949年に行われた招待コンペでのアアルトの受賞作品に基づいています。

アアルトは、この市庁舎を小さな町セイナトサロの記念碑的なランドマークとして構想していたそうです。

アアルトは、この市庁舎の建設を細心の注意を払って監督したことでも知られ、この建築は彼のキャリアの中でも重要な作品のひとつに数えられています。

1−2、セイナッツァロの村役場の機能

村役場にある模型

小さなスケールでありながら、まるでお城のように建つ、この特徴的な赤レンガの建物は、高さのあるアトリウムの中庭を囲むように配置されており、そこから管理施設や図書館にアクセスできるようになっています。評議員室は他の部分よりも高くそびえ立っており、目を引くようなフォルムをしています。また、建物内にはアパートや商業施設があり、その一部はホテルなど新たな目的のために改装されています。

では、文面だけではわからないところが多いかと思いますので、ここからその1つ1つを見ていきます。

では、ここから建物のその詳細を1つ1つ見ていきます。

2、建物訪問

2−1、外観

外観1
外観2
外観3

それぞれの面で全く違う表情を見せてくれます。これもアアルト建築の特徴の1つだと言えると思いますが、セイナッツァロの村役場はそれの最たるものであると思います。同じ素材でありながら、これだけそれぞれの面で全く違う表情を見せてくれる形態操作は圧巻としか言いようかないですね。

特に、南西のアプローチから見る建築の形態は個人的に一番好きな外観です。そこまでスケールの大きくない建築でありながら、様々な建築の表情を一度に見せてkれるこのパースは芸術的です。

では、この階段を上り、中庭の方に向かっていきます。

2−2、中庭

中庭1

奥に見える黒い列柱はイタリア、もっと言えば古代ローマの遺跡から影響を受けたものなんだとか。アアルトは違う記事でも述べていますが、イタリア、南ヨーロッパの雰囲気が本当に大好きだったようですね。

中庭2
中庭3

こちらもそれぞれの面で全く違う表情を見せてくれます。

また、グランドレベルから見たときはかなり建物の迫力感じる、シンボリックな印象を受けましたが、それに比べて中庭に入るとその迫力は薄れ、より人間的なスケールで建築が現れてきて、どこか親近感を感じるような設計となっています。中庭がグランドレベルよりだいぶ高くなっているからこそなせる空間操作ですが、これを思い付くという意味でも上手な設計ですよね。

2−3、役場入口

役場入り口

外壁にあった、グリーンカーテンがうまく機能し、自然な空間を演出しています。

役場の廊下から中庭を見る
役場廊下

役所内の廊下は中庭で述べたようにそこまで、天井高さがないので、人に寄り添った、優しい空間が演出されています。

2−4、会議室

会議室1

外に見える景色も本当に優しく、美しいです。正しく、ピクチャウインドウ。

会議室2

役所の会議室の家具、証明はもちろんアアルトの設計です。会議室には初期のスケッチが展示されています。

2−5、議事堂

個人的に一番好きな空間だったの外観で飛び出ていた議事堂部分でした。

議事堂アプローチ

議事堂までのアプローチ左側の間接光と右側の直接光が混ざって豊かな空間を作り上げています。この間接照明のディティールにアアルトはかなりこだわったんだとガイドさんはおっしゃっていました。

議事堂入り口
議事堂内部

議事堂内部も上手に光がコントロールされていて、議事堂というよりも教会に近い雰囲気でした。一部の議員からは何でもっと明るい空間にしなかったのか、これでは書類が読めないという批判もあったようなのですが、それをアアルトは議事資料は事前に読んでくるものだと反発したそうです。建築家ならではのこだわりが見えるやりとりですね。確かにこの豊かな空間が演出できるのであれば、多少書類が見えにくくても許してしまう気がします。

議事堂天井

天井の構造もユニークな形状をしていました。

絵画と彩光窓

村役場には様々な美術品が展示されています。多くはアアルトが直々に声をかけた芸術家が作っているものだそうです。この絵画もそうだったらしいのですが、画家が提示してきた値段があまりに高く、村の予算では出せないとなりアアルトが私費で購入して、ここに飾ったのだとか。しかし、アアルトの死後、所有権を持っていたご家族がここから持ち出したため、これはコピー何だそうです。このようなオフレコが聞けるのもガイドツアーの魅力ですかね。

内観
彩光2

議事堂の最も大きな明かりとりの窓でここで、光の演出が上手に行われているのですが、この窓形状や採光の取り方は日本の文化に影響されたとのこと。アアルトは日本の文化にもかなり関心を持っていたようです。

2−6、今回残念ながら見学できなったところ

今回は残念ながら、図書館と宿泊施設部分は見学が許されませんでした。

図書館は私が見学にいった日は開館時間が4時までで残念ながら私は4時半からのツアーに申し込んでいたので、見学することができませんでした。図書館と見学ツアーは全くの別物になってしまうので注意!図書館の開館時間はその月や曜日によって、大きく変わってしまうということだったので、見たい人は事前に確認することをお勧めします。

一応、僕が行った際の図書館の開館時間を載せておきます。あくまで、参考程度にご参照ください。

図書館開館時間2021/09時点

また、ホテルに関しては宿泊者しか入ることができず、学生の身分では泊まることが難しい金額でした。お金に多少余裕がある方は是非泊まっていただきその感想をコメント欄にでも残していただけるとありがたいくらいです。

About the author

衣食住、旅人本に興味がある。アウトプットメインですが読んでいただければありがたいです。

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