【書評、超要約】ハーバードの人生が変わる東洋哲学

この記事では、『ハーバードの人生が変わる東洋哲学』と言う本の内容についての超要約および書評をしています!一部引用しながら、本を紹介しているので、本の雰囲気を知りたいとか、こんなこと言ってたのかと理解するのに、役立てて頂けたらと思います。

1、1分で読める超要約!

まず、この作者は一貫して現在、一般的に言われている東洋思想、つまり伝統的で自然に根ざしており、どこか哀愁の念を漂うものであるという考えが間違っているものだと説明します。

なぜ、それが間違った考えなのか、一章で一人の思想家を紹介し、一般的の人がもつその思想家のイメージや世間一般の常識とその人の実際に考えていたところを違いをわかりやすく説明している本です。

例えば、孔子はいわゆる、自分探しや自己分析という考えを否定します。そして、自分の行動パターンの分析し、常に自分自身の反応を変えてくいくべきだと解き、そのために礼という概念が必要だと解いたそうです。

その他、具体的には孔子、孟子、老子、荘子、荀子の順に紹介して行きます。

そして、終章に再び、東洋思想と西洋思想の歴史を比較し、以下に東洋思想が西洋思想家によって誤解されてきたのか、我々が東洋思想家から何を学べるのかが書かれ、終わりとなっています。

では、次に肝心の何を解いているのかを私が素敵だなと思った印象的な箇所を章ごとに引用する事で本の雰囲気を理解してもらえればと思います。

2、印象に残った文章

1章 伝統から”解放された”時代

「この本の題名(原題 The Path)は、しばしば中国の思想家が〈道〉と呼んだ概念からきている。道は、わたしたちが努力して従うべき調和のとれた「理想」ではない。そうではなく、道は、自分の選択や行動や人間関係によってたえまなく形づくっていく行路だ。わたしたちは人生の一瞬一瞬で新たに道を生み出している。」

—『ハーバードの人生が変わる東洋哲学 悩めるエリートを熱狂させた超人気講義 (早川書房)』マイケル ピュエット&クリスティーン グロス=ロー著

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3章 毎日少しずつ自分を変える―孔子と“礼”“仁”

「しかし、孔子に言わせれば、作法を押しつける儀礼に抵抗があるわたしたちが、たくさんの社会規範や慣例にむざむざ従っているのは矛盾している。礼になりうる習慣が生活に浸透しているのに、わたしたちはその価値もわからず、ただ機械的に繰り返してしまっている。わたしたちのほうこそ、自動人形になりかけているのだ。」

—『ハーバードの人生が変わる東洋哲学 悩めるエリートを熱狂させた超人気講義 (早川書房)』マイケル ピュエット&クリスティーン グロス=ロー著

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「パターン化された行動や機械的な習癖――礼とは違う――は、まさしくわたしたちの生活を規定し、ほかの人を思いやる気持ちを妨げる。けれども、行動パターンを打破する〈かのように〉の礼を繰り返す人生を通じて、まわりの人に親切にするすべを感じとる能力が身につく。重要なのはここだ。この能力が〈仁〉、すなわち、人間の善性だ。」

—『ハーバードの人生が変わる東洋哲学 悩めるエリートを熱狂させた超人気講義 (早川書房)』マイケル ピュエット&クリスティーン グロス=ロー著

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4章 心を耕して決断力を高める―孟子と“命”

「かわりに、世界が不安定だとたえず意識しつづければ、変化しつづける複雑な世界と変容しつづける複雑な自分という認識にもとづいて、すべての決断や反応を考えられるようになる。」

—『ハーバードの人生が変わる東洋哲学 悩めるエリートを熱狂させた超人気講義 (早川書房)』マイケル ピュエット&クリスティーン グロス=ロー著

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5章 強くなるために弱くなる―老子と“道”

「『老子』が不朽の名著なのは、堅さではなく柔らかさを通じて、つまり支配ではなくつながりを通じて、はるかに強大な影響力を発揮する人間になる方法を教えてくれるからだ。」

—『ハーバードの人生が変わる東洋哲学 悩めるエリートを熱狂させた超人気講義 (早川書房)』マイケル ピュエット&クリスティーン グロス=ロー著

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6章 まわりを引きつける人になる―『内業』と“精”“気”“神”

「しかし、『内業』の作者は意志を強調するのを避けるため、精神というものを、世界に支配をおよぼしたり他者に我を張ったりする存在とは解釈しなかった。きわめて純度が高く、カリスマ性があり、まわりと調和した存在で、あらゆるものとの純然たるつながりによって世界を一変させるものと説明した。」

—『ハーバードの人生が変わる東洋哲学 悩めるエリートを熱狂させた超人気講義 (早川書房)』マイケル ピュエット&クリスティーン グロス=ロー著

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「もちろん、悲しいできごとが負の感情を引き起こし、人を疲弊させることはだれもが知っている。けれども、興奮したり爽快になったりするできごとでさえ、それに頼りきってエネルギーのほとばしりを感じさせてくれるのを当てにしているとすれば、わたしたちにとって有害なものになる。」

—『ハーバードの人生が変わる東洋哲学 悩めるエリートを熱狂させた超人気講義 (早川書房)』マイケル ピュエット&クリスティーン グロス=ロー著

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7章 「自分中心」から脱却する―荘子と“物化”

「変化が満ちあふれる世界のなかに、たった一つ例外があると荘子はいう。全宇宙でただ一つおのずから道に従わないもの。それはわたしたち人間だ。」

—『ハーバードの人生が変わる東洋哲学 悩めるエリートを熱狂させた超人気講義 (早川書房)』マイケル ピュエット&クリスティーン グロス=ロー著

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「制限のない視点から本当にすべてのものを見られるようになれば、人生のあらゆる局面をいとおしんで受け入れられる。究極の区別である、死すべき運命も例外ではない。死は、〈道〉の終わりなき循環の一つにすぎないからだ。」

—『ハーバードの人生が変わる東洋哲学 悩めるエリートを熱狂させた超人気講義 (早川書房)』マイケル ピュエット&クリスティーン グロス=ロー著

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8章 「あるがまま」がよいとはかぎらない―荀子と“ことわり”

「わたしたちはよく、自分を受け入れることで成長できると聞かされる。「ありのままの自分を愛しなさい。この瞬間の自分という人間を受け入れて心安らかでありなさい」と言われる。(中略)しかし、本書の哲学者の一人は、このような自己受容を憂慮したことだろう。」

—『ハーバードの人生が変わる東洋哲学 悩めるエリートを熱狂させた超人気講義 (早川書房)』マイケル ピュエット&クリスティーン グロス=ロー著

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「わたしたちがいかにそれまでまわりの環境を形づくってきたかを認識すれば、世界にことわりと秩序を与えられる宇宙で唯一の存在としての役割を担えるようになる。」

—『ハーバードの人生が変わる東洋哲学 悩めるエリートを熱狂させた超人気講義 (早川書房)』マイケル ピュエット&クリスティーン グロス=ロー著

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9章 世界じゅうの思想が息を吹き返す時代

「わたしたちの定義によれば、伝統的な社会は、安定した自己と固定した条理のある世界だとされる。なにも疑わずにより大きな社会規範に従うことで成功する社会であり、最小限の社会的流動性しかない社会であり、さまざまな思想から隔絶された狭い世界観のなかで生きる社会だ。  しかし、伝統を本当にこのように定義するなら、わたしたちこそが伝統的な世界観を受け入れ、伝統的な社会に回帰しているといえる。個人のレベルであれ(人とのつき合い方をみずから限定する、将来についての決断の範囲をみずからせばめる)、社会のレベルであれ(少数の支配層の手に富が集中し、社会的流動性が大幅に低下する)、どちらの領域でもわたしたちは着実に伝統的な世界に逆もどりしている。」

—『ハーバードの人生が変わる東洋哲学 悩めるエリートを熱狂させた超人気講義 (早川書房)』マイケル ピュエット&クリスティーン グロス=ロー著

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「わたしたちは、歴史の方向を定めるのも、すべてを判断するレンズをもたらすのも西洋だという世界観に、東洋思想を混ぜ込んできた。そのせいで、思想の本来の姿を見ることも、その偉大な可能性に気づくこともできずにいる。」

—『ハーバードの人生が変わる東洋哲学 悩めるエリートを熱狂させた超人気講義 (早川書房)』マイケル ピュエット&クリスティーン グロス=ロー著

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「この思想家たちは、どうすればよい人生を送れるかという点で、それぞれ異なる考えをもっていた。しかし、同じものを否定していた。どの思想家も、わたしたちを束縛する変えられない過去や、固守すべき画一的な宇宙の秩序や、従うべき理性的な法則や、先人が残した心にとめておくべき倫理的な教義などないと考えた。」

—『ハーバードの人生が変わる東洋哲学 悩めるエリートを熱狂させた超人気講義 (早川書房)』マイケル ピュエット&クリスティーン グロス=ロー著

https://a.co/4jzzVLP

3、感想

この本の面白いところは第一に東洋思想というのが、世間一般におもわれているものとは随分と違うことを示してくれているところです。

この本の著者はタイトルの通り、ハーバードで教鞭をとっている方である故に西洋諸国のエリート層が東洋思想をどのように考えているかを把握して、この本を書いています。

そして、意外にもその彼らのイメージする東洋思想と私たち日本人がイメージする東洋思想は似ていることに気づかされます。ある意味それは日本もウエストナイズされた国にあることに原因があるのかもしれません。

そんな読者層をターゲットにしてるからこそ、それぞれの思想家は本当はこんな事を言いたかったのかと理解することができます。

また、この本の面白いところは哲学的な議論を高尚な、悪い言い方をすればお高く止まった感じで議論することなく、日々の日常でどのように考えていけばいいのかを提示してくれます。もともとそれは筆者から言わせると中国思想がそのような思想訓練を積み上げていく学問体系だったからだそうです。

例えば、筆者はトロッコ問題を考えることを無意味であると痛烈に批判します。トロッコ問題とは、自分がトロッコに乗っていると仮定して、自分のいく先には5人の人がおり、自分が分岐器を作動させれば、トロッコは別の軌道に入るが、その先にも1人の作業員がいると想像します。 この場合、「自分」はどのような選択をすればよいかという問いがトロッコ問題と言われているものです。 特定の人を助ける代わりに、別の人を犠牲にしてもよいかという倫理学上のジレンマを扱っているのがポイントです。

この問いや正義とは何かということを考えたい人にはこちらの本もおすすめです。

ただ、筆者、あるいは中国の思想家たちはこのような状況に陥ることは人生に1度あるかないかの問題を考えてもしょうがないと言います。

それよりも日々の日常をどのように過ごすかを考えることの方が大事であるとときます。だから本の中には結婚や就職の重大な決断をどのようにするべきか、嫌いな上司にどのように対処するべきかなど、日常の出来事をテーマとした問いを突きつけてくれることで理解しやすいように努めてくれます。

4、読みやすくなるポイント

ただ、日常の出来事をテーマとした問いだからと行ってこの本自体が安易な本であるというわけではありません。むしろ、本質に迫っているからころ、分かったようでわからないそんな感覚を覚えるところも多々ありました。

だからこそ、これから読む人、あるいは読んでもいまいちわからなかったという人には1つ読んでいて気づいたポイントを紹介します。それは「道」という概念をキーワードに読むということです。

この本はそれぞれの章でそれぞれの思想家を考えを紹介しているので、一貫したテーマというものを見つけにくいという難しさがあります。しかし、どの章でも大変重要になってくるキーワードがあります。それは「道」という概念です。「道」というのはこの本でも言われている通り、それぞれの思想家で示す定義が異なりますが、人生の理想的な状態にあることと考えていいと思います。その理想的な状態とは何かというのが、それぞれの思想家が考えたことであり、これを念頭に読み進めていくと気づきがある部分も多いかなと思います。

また、参考文献やしっかりと学びたい人のために筆者は丁寧にも理解を深めるための本を紹介してくれています。これらを事前に読んでおくことで、より理解が深まるかもしれませんね。

多くが洋書となっていますが、日本語訳がある本、ジャレド・ダイヤモンドの『銃・病原菌・鉄ー1万3000年にわたる人類史の謎(上下)』はここでも紹介しておきたいと思います。

この本もかなり有名な本ですが、こちらを読むことで世界の中での東洋文明、東洋思想というのがどのような位置づけなのかを理解することができると思います。

5、最後に

以上、『ハーバードの人生が変わる東洋哲学』の超要約および書評をしてきました。この記事が皆さんの読書体験をより豊かにするようになっていれば嬉しいです!

ではでは。

About the author

衣食住、旅人本に興味がある。アウトプットメインですが読んでいただければありがたいです。

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