ヴァナキュラー建築を学ぶためのオススメの本5選

この記事では、ヴァナキュラー建築、風土建築を学ぶ筆者がヴァナキュラー建築とは何かを学ぶための本をいくつか紹介している記事になります。

ヴァナキュラー建築って聞いたことはあって何となくのイメージはあるけど、もう少し詳細に知りたいなという方にオススメできる記事になっていますので、宜しければご覧ください。

では、早速ですが、本の紹介に移っていきます。

0、いきなりまとめ笑 オススメ書籍一覧

いきなりでなんですが、時間のないという人向けにこれからオススメする書籍を一覧にまとめてみました。

時間があまりないという方はこの一覧を見た後、興味ある本の箇所に移動していただければと思います。

以下が私がオススメする本の一覧になります。

1、建築家なしの建築 (ヴァナキュラー建築関連のロングセラーの代表本その1)

2、集落の教え100 (ヴァナキュラー建築関連のロングセラーの代表本その2)

3、世界住居誌 (比較的安価かつタイトル通り世界中の住居がまとめられている)

4、ビジュアル版 世界の居住文化百科 さまざまな民族の伝統的住まい (写真で見たい人にはオススメ)

5、Lo-TEK. Design by Radical Indigenism (ヴァナキュラー建築の最前線)

最初は長く愛され続けている本から紹介していき、徐々にその歴史、潮流を捉えながら紹介できればと思います。

最初は歴史系やフィンランド人の価値観にスポットを当てた本を紹介することでフィンランドやフィンランド人の根底にある雰囲気をなんとなく感じていただけると嬉しいです。

1、建築家なしの建築

まず、ヴァナキュラー建築、風土建築の本と言われれば、この本は紹介されるべき本だと思います。

この本はアメリカ出身の建築家、バーナード・ルドフスキーによって1964年にニューヨーク近代美術館で開催された「建築家なしの建築展」のために集められた写真をもとにして作成された本です。

当時、建築界だけではないですが、モダン・ムーブメント、近代化してこうという流れが主流でしたが、そのムーブメントに疑問を持った層が一定数いました。その代表者がバーナード・ルドフスキーであり、ヴァナキュラー建築という単語を広めた人と言って過言ではないと思います。

時に彼は“the master iconoclast of the modern movement”(モダン・ムーブメント破壊の象徴的巨匠)と言われる程です。

この本はそんな建築家、作家によって作成された本で原題は”Architecture Without Architects”となります。

当時、あるいはこの本が出されるまではArchitectureとはより計画され、権威があり、荘厳な建物というイメージが少なからず、あったのだと思います。そしてそんな建物を作るのがArchitects(建築家)であるという考えも暗にあったのでしょう。

しかし、この本ではそのような建物だけでなく、大きな歴史の流れの中で埋もれてしまって名も無い人、あるいは名も無い建物に着目をし、そんな建物にも学ぶものがあり、美しいではないかと疑問を初期に投げかけた本ではないかと思います。

2、集落の教え100

続いて紹介するのは、言わずとしてた建築家、原広司さんの代表著書の「集落の教え100」です。

原広司さんはライフワークの1つとして集落調査を長年行ってきた建築家で、同時に京都駅を代表作品を中心として、その集落調査によって得られた、知見を設計に取り入れることが非常に上手な建築家として有名です。

この本はそんな集落調査によって得られた建築計画、都市計画、意匠設計的な知見を100のカテゴリーに分類分けし、まとめられた本になっています。

写真と共に語られる原広司さんの教えは1つ1つは非常に深淵で、私にはわからない教えも多々ありますが、何度も再読する中でこういうことが言いたいのかなとインスピレーションを掻き立ててくれる本です。

ヴァナキュラー建築に興味があるのであれば、必読の書だと思いますが、特に建築の計画、意匠系に進んでいる方、進む予定の方にはオススメできるかなと思います。

3、世界住居誌

次にオススメするのは布野修司さんの世界住居誌です。

布野修司さんは日本大学、京都大大学、滋賀県立大学などで教鞭をとった建築・都市研究家であり、特にアジアの都市や集落、建築に精通した研究者です。

ただ、その活動範囲、あるいは知識のネットワークはアジアにとどまることなく、世界中の都市、集落、建築の知識を持つ方で、そんな方によって書かれた本になります。

この本の特徴は上記2つと比べ、いい意味で著者の嗜好や色が少なく、より百科事典的に見れることです。

先ほども申しましたが、特に原広司さんの「集落の教え100」などは著者の洞察が深すぎるあまり、時に読者を置いてけぼりにすることがあります。

しかし、この本はより、その研究で得られた事実をそのまま事実として記述することで、ヴァナキュラー建築をよりわかりやすく理解できる本になっています。

値段に対して、その纏められている量はかなりのものなので、よりファクトを読者自身も認識しながらページをめくれると思います。

4、ビジュアル版 世界の居住文化百科 さまざまな民族の伝統的住まい (写真で見たい人にはオススメ)

タイトルの通り、ビジュアル、写真や図版を主な情報源としてに世界の様々な住居について書かれている本です。

ただ、写真集的な感じかと言えばそういうことではなく、論文等にありがちな白黒の小さな写真で文字びっしりみたいな本ではなくて、もう少しカラーの写真や大きめの写真が用意してありますよという感じなので、書かれている説明を写真や図版をみながらしっかりと理解できるのが、この本のいいところです。

イメージは文章半分、図版半分、くらいのイメージですし、ゴミをアップサイクルしてできた家など最近の居住文化にも言及してて面白い本です。

5、Lo-TEK. Design by Radical Indigenism (ヴァナキュラー建築の最前線)

次に紹介するのは最近(2021年)に発売された本で、英語の本になってしまいますので、かなり上級者向けの本になってしまいますが、バナキュラー建築の最前線を考察する本になっています。

タイトルではIndigenism、となっていますが、地域に名指した建築を扱っているという意味においてヴァナキュラー建築の最前線と言えると思います。

このRadical Indigenism、直訳では抜本的、急進的な土着主義、意訳をすれば革命的な地域性でしょうか、によって作られたローテクなテザインとなります。

Lo-tekローテクとは,ハイテクの対義語の言葉です。

様々な定義やニュアンスが含まれる言葉で、最先端のものでない技術というネガティブな表現として使われることもあれば、シンプルで洗練された技術という意味で使われることもある言葉です。

今回の場合は後者の表現として使われており、昨今の地球環境問題への関心の勃興などからそのあたりについても語られているところもあるので、生きる書物として活用できるのではないかと思います。

本のデザイン、装丁も非常に綺麗にさせているので、インテリアとしても十分威力を発揮する本です笑

6、最後に

以上、バナキュラー建築に関する本の紹介をしてきました。必読の書から、最前線の書まで広く扱ってきましたので、皆さんの心にヒットするものがあれば嬉しいです。

どの本も一筋縄で読めるような本ではないですが、この紹介ページにたどり着いた皆さんであれば、読破できると思いますので、気になった本があれば是非、購入してみてください。

最後まで、読んでいただきありがとうございました。

ではでは。

About the author

衣食住、旅人本に興味がある。アウトプットメインですが読んでいただければありがたいです。

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