【書評/要約】FACTFULNESS(ファクトフルネス)

紹介文

この本は「10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣」というサブタイトルがついています。人間には危機回避のため、本能的に思い込みをしてしまうことが多々あります。もちろんこれは原始自体の人間には必要なことでした。しかし、メディアが発達した現代においてこの能力は必ずしも有効に働くとは限りません。フェイクニュース、過剰な報道など現代には我々の本能を巧みに操るものがたくさんあります。

だからこそ、本能を抑え世界のありのまま姿をしっかりと認識する必要があります。しかし、それは非常に難しいことです。どのようにすればありのままの世界を認識できるのか、この本にはその方法論が書かれています。

データを正しく読み取れるようになりたい。フェイクニュースに惑わされないようになりたい。メディアリテラシーを鍛えたいという方にもオススメです。

それと同時に明るい気持ちになりという方にもオススメです。大げさではなく、この本を読む前と後だと世界の見え方が変わり、世界が少し暖かく見えてきます。

印象に残った文

世界を正しく観れているかクイズ

まず、最初に読者の皆さんがどれくらい世界を正しく観れているか確認するクイズがあります。これが非常に印象的でした。

いくつか抜粋します。

質問1現在、低所得国に暮らす女子の何割が、初等教育を修了するでしょう?

A20%
B40%
C60%

質問2世界で最も多くの人が住んでいるのはどこでしょう?

A低所得国
B中所得国
C高所得国

質問3国連の予測によると、2100年にはいまより人口が40億人増えるとされています。人口が増える最も大きな理由は何でしょう?

A子供(15歳未満)が増えるから
B大人(15歳から74歳)が増えるから
C後期高齢者(75歳以上)が増えるから

質問4自然災害で毎年亡くなる人の数は、過去100年でどう変化したでしょう?
A2倍以上になった
Bあまり変わっていない
C半分以下になった

質問51996年には、トラとジャイアントパンダとクロサイはいずれも絶滅危惧種として指定されていました。この3つのうち、当時よりも絶滅の危機に瀕している動物はいくつでしょう?

A2つ
Bひとつ
Cゼロ

質問6いくらかでも電気が使える人は、世界にどのくらいいるでしょう?

A20%
B50%
C80%

回答できたでしょうか正解は1C、 2B、 3B、 4C 5C 6Cでした。
あと、残り7問あり計13問あるのですが恥ずかしながら私は2問しかあっていませんでした。ただ、それは他の方も似たようらしく、科学者でも似たような結果になるらしいのです。

だからこそ、世界を正しく見る力が重要であると筆者は訴えます。

世界を正しく見るために抑制すべき10の本能

この本では10の本能を実例と共に紹介し、それを抑えるポイントも紹介しています。

第1章 分断本能 「世界は分断されている」という思い込み
→「平均の比較」に注意しよう。
→「極端な数字の比較」に注意しよう。

第2章 ネガティブ本能 「世界はどんどん悪くなっている」という思い込み
→良い出来事はニュースになりにくい
→ゆっくりとした進歩はニュースになりにくい
→美化された過去に気をつけよう

第3章直線本能 「世界の人口はひたすら増え続ける」という思い込み
→なんでもかんでも、直線のグラフに当てはめないようにしよう。

第4章 恐怖本能 危険でないことを、恐ろしいと考えてしまう思い込み
→世界は恐ろしいと思う前に、現実を見よう。
→行動する前に落ち着こう。

第5章 過大視本能 「目の前の数字がいちばん重要だ」という思い込み
→比較しよう。
→割り算をしよう。

第6章 パターン化本能 「ひとつの例がすべてに当てはまる」という思い込み
→「過半数」に気をつけよう。
→強烈なイメージに注意しよう。

第7章 宿命本能 「すべてはあらかじめ決まっている」という思い込み
→小さな進歩を追いかけよう。
→文化が変わった例を集めよう。

第8章 単純化本能 「世界はひとつの切り口で理解できる」という思い込み
→自分の考え方を検証しよう。
→数字は大切だが、数字だけに頼ってはいけない。

第9章 犯人捜し本能 「誰かを責めれば物事は解決する」という思い込み
→犯人ではなく、原因を探そう。
→ヒーローではなく、社会を機能させている仕組みに目を向けよう。

第10章 焦り本能 「いますぐ手を打たないと大変なことになる」という思い込み
→データにこだわろう
→過激な対策に注意しよう

このようなアドバイスを面白い具体例を交えながら、紹介してくれます。
最近、新型コロナウイルスの話で持ちきりなので、感染症の具体例を少し抜粋します。

1918年に、スペインかぜと呼ばれるインフルエンザにより、世界人口の2・7%が亡くなった。ワクチンがないインフルエンザが蔓延する可能性は、いまでも捨てきれない。人類は大いに警戒すべきだ。

2009年には、豚インフルエンザが流行した。その年の最初の数カ月だけで、何千人もの人が亡くなった。どのメディアも2週間にわたって、豚インフルエンザを報じ続けた。しかし、2014年のエボラ出血熱と違い、豚インフルエンザの感染者は倍増しなかった。それどころか、感染者のグラフは直線にすらならなかった。感染情報が初めて報じられたときは、とても危険であるかのように思われたが、データを見ればそうではないことは自明だった。にもかかわらず、メディアは数週間にわたって危機感を煽り続けた。呆れ果てたわたしは、データを見てみることにした。報道されるのあいだに、3人が豚インフルエンザで亡くなった。一方、グーグルで関連ニュースを検索してみると、同じ期間で5万3442件の記事がヒットした。ひとつの死につき、8176件の記事が書かれたことになる。さらにわたしは、同じ2週間のあいだに、結核で亡くなった人も計算した。結果は約6万3066人。このうちのほとんどはレベル1と2の国の人だった。近年、結核は治る病気になったが、レベル1や2の国ではいまだに死亡する人が多い。豚インフルエンザと同じく、結核も感染症であり、細菌が薬への耐性を持てば、レベル4の国でも多くの人が亡くなるだろう。にもかかわらず、結核の死亡者ひとりに対して、ニュース記事はその0分の1しか書かれていない。つまり、豚インフルエンザによる死は、同じくらい悲惨な結核による死に比べて、8万2000倍の注目を浴びていた。 
ー第5章 過大視本能 「目の前の数字がいちばん重要だ」という思い込みよりー

感想

紹介文にも書きましたが、この本を読んだ後は非常にあたたかい気持ちになりました。世界はまだまだ悲しいことに溢れてはいますが、しかし同時に良いことも溢れているということを実感できたからです。

最近の例を言えば、新型コロナウイルスによって3月29日現在で3万人の人が命を落としています。これは非常に悲しい出来事です。それは間違いありません。しかし、歴史を辿れば第一次世界対戦中に世界で広がったスペイン風邪の流行によって5000万人の人が命を落としています。現状でスペイン風邪のようになっていないのは公衆衛生の知識が広がった結果でしょう。悲しいニュースにも人類の進歩という明るい感情も抱くことができる。

もちろん、それでも3万人の方が亡くなったという事実は変わりませんが、希望を持ちながらそれを改善させていくことが重要であると感じました。筆者も述べていますが、「悪い」と「良くなっている」は両立するということを理解し、世界が少し明るく見えました。

ぜひ、コロナ騒動や悲しいニュースばかり見て悲観的になっている人は読んで見てください。

About the author

衣食住、旅人本に興味がある。アウトプットメインですが読んでいただければありがたいです。

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