北欧留学の建築学生がオススメするストックホルムの建築25選 後編

この記事ではスウェーデンの首都、ストックホルムにある有名な建築を紹介する記事になっています。

古典的な名建築から現代建築まで様々な建築時系列で扱っていますので、建築や都市計画に興味があるよって人はオススメできる記事になっていると思いますので、よければご覧ください。

今回は全3回の第3回目です。19世紀後半以降の建築を中心に紹介します。

前編では19世紀以前の建築を、中編では19世紀あたりの建築を中心に紹介していますので、よろしければそちらもご覧ください。

では早速ですが、ストックホルムの現代建築の世界に入っていきましょう!

目次は以下のようになります。

中編でご紹介した通り、19世紀の前中期はナショナルロマンティズムや機能主義、モダニズムの時代でした。そこから、潮目が少しづつ変わり、19世紀後半にはポストモダニズム的な建築が建てられ、そして最近では環境を意識した建築が建てられるようになっていきます。

スではどんな建築が建てられたのか見ていきましょう。

1、ストックホルム・グローブ・アリーナ Avicii Arena 1989

ストックホルム・グローブ・アリーナは、最大16,200人の観客を収容できる屋内マルチアリーナです。このアリーナは、世界最大級の球形の建物として、知られています。

1989年に開場し、ホテル、オフィスビル、ショッピングセンターを含む複合施設も併設しています。

2022年春に市議会に提出され決定されるこの提案では、このスタジアム一体は、再開発が行われ、イベントの種類や観客の規模にかかわらず、より質の高い体験を提供できるように開発されるそうです。

大きなイベントにはユニークな球体感を残し、小さなイベントにはアリーナスペースを縮小することができるようにする予定だそうです。

2、Swedish Centre for Architecture and Design 1958&1998

スウェーデンのストックホルムにある近代美術館(Moderna Museet)は、1958年に開館したストックホルム中心部のスケップスホルメン島にある近代・現代美術のための国立美術館です。

1994年から98年にかけて、スペインの建築家ラファエル・モネオ(Rafael Moneo)の設計により、モダンな新館が建設されました。また、展示室の一部になっている、ポンタス・フルテン・スタディギャラリー(Pontus Hultén Study Gallery )はレンゾ・ピアノの設計だそうです。

3、Millesgården Museum 1999

ミレスガーデンは、リディンゴ(Lidingö)にある芸術家美術館と彫刻公園で、もともとは芸術家で彫刻家のカール・ミレスとその妻オルガが1931年まで住んでいた家とスタジオと庭が合体した住宅です。 ミレスガーデンには、主にカール・ミレスの作品が展示されています。

1998年には、庭園デザイナーであるエマ・ルンドベリの精神を受け継いだ「エマ・ルンドベリ庭園」が作られ、1999年に建築家ヨハン・セルシングの設計によって、ミレスガーデン美術館が併設されました。

19紀前半の雰囲気が残る建物と増設されたモダンな美術館のコントラストが美しい素敵な美術館です。展示自体を非常に魅力的で、建物や庭と一緒に彫刻を見ることができる良い美術館です。

4、Stockholm Waterfront Congress Centre 2010

このプロジェクトは、水辺に最も近い低層のカンファレンス&コンサートルーム、オフィスビル、カンファレンスルームから直結した400室のホテルの3つの独立した建物で構成されています。

設計担当者によると当初の3,000席のコングレスホールと2,000席のダイニングルームという要件は、三角形の敷地内では収容しきれなかったようです。

そこで、可動式の座席兼用スペースと、エントランスを覆う巨大なキャノピーのように敷地の枠を大きく越えて吊り下げられたコングレスホールを作ることによって解決したそうです。

機能や計画の問題をユニークな形態操作によって解決した事例と言えると思います。

5、Tele2 Arena 2013

Tele2 Arenaは、ストックホルム・グローブ・アリーナのすぐ隣にある、ストックホルムの新しい多目的アリーナです。

その非対称な形状は北欧の季節の光に合わせたデザインにするところからきています。
スポーツイベントで3万人、コンサートで4万5千人の観客を収容することができる様です。

建築家たちの大きな目標は、観客の視界を妨げない透明性、しかし、それと同様にアリーナにとって重要な、オープンで歓迎される物理的存在感という矛盾するような2つのコンセプトを解くことでした。

その結果としてなのか、パンチングメタルのファサードを使用し、特徴的なフォルムで、中に入る前から内部の形状が分かるようになっています。逆に内部からは、透明な外壁によって周囲の街並みを眺めることができる様です。

サステナビリティも配慮し、アリーナが環境に与える影響を評価するために、環境影響評価(EIA)が実施されました。アリーナは、スウェーデンの環境建築認証システム、Miljöbyggnadに従って、環境的建築に分類されているそうです。

6、Arkitekturbiblioteket KTH 2015

次に紹介するのは、KTHという大学の新校舎になります。設計した建築家はこの敷地は、文化的、歴史的背景が非常に明確であり、物理的な制限もあるため、何もコンテクストがない場所とは正反対の場所と言えるかもしれないと言っています。新校舎は既存の中庭に作られ、20世紀初頭のエリック・ラッレルステットによって建てられた、記念碑的なレンガ造りの建物に隣接している場所です。

コンセプトは自由なキャンパスレイアウトの論理に基づき、建物内外の回遊性を確保することにあることの事です。新校舎を敷地と完全に一体化させ、地下にある庭や屋上庭園を備え中庭の連続した空間としての性格を重視しています。

深紅のコーテンスチールの外壁は、既存の建物の濃い赤レンガととても調和しており、美しい建物です。

7、79&PARK 2018

この集合住宅は最近話題になっている新たな木質材料、CLTを使用した建築です。
北西角と南東角は近隣の建物高さに合わせ、かなりの高さの建物を木造とコンクリートの混構造で実現しています。

一方で北東角は、隣接する、公園の眺望を確保するためにボリュームが縮んでおり、ユニークな形になっています。

真ん中は中庭になっており、そこに幼稚園やカフェ、なども併設されており、住みやすい住宅に設計されています。

建築のユニットをピクセル単位的に構成することで、視覚的なボリュームを抑え、周囲の景観を完全に反映した有機的な表現を可能にしています。しかし、それと同時に規格化されたサイズのプレハブユニット故にコスパよく、ユニークな形態を実現した良い例だと思われます。

8、Norra Tornen 2018

次に紹介するのは、ストックホルムで1番高い高層マンションです。

面白いことに、この建物は1つ前に紹介した79&PARKと対抗して同時期に間に合わせて作られた建築だとかそうでないとか。

いずれにしても、こちらもかなりユニークな形態の集合住宅です。

光が重要な北欧で、大きな窓を持つファサードユニットを操作したユニークな建築です。

建築家の意図としては高層マンションという権威的な建築になりやすいものを人間スケール、ヒューマニズム的なものにするかに力を入れたそうです。

環境的な木造の集合住宅の79&PARK、人間スケール、ヒューマニズム的なところに力を入れたNorra Tornen

どちらも現代を象徴するような、しかし全く異なるテーマで作られた2つ集合住宅。両方みて、違いを肌で感じてみるのもいいかもしれません。

9、Sthlm 01 2020

ストックホルムに向かう主要道路沿いに位置し、再開発の中で建設された、高層の複合施設です。高さ100mと25mのタワーと低層の建物から構成されています。

携帯的には、円錐形の星が空に向かって徐々に伸びていくような象徴的な形状をしており、限られた敷地に最小限の面積で、遠くの景色と豊富な日照を生かした柔軟なオフィス空間を確保できるように設計されています。

地上2階には商業施設、最上階にはレストランとスカイバーがあり、市街地の眺望を楽しむことができます。

10、Yoga Pavilion in Vasaparken 2021

このヨガパビリオンは郊外の公園に位置しており、公園のどこに作るかというところから計画が始まりました。結果として、夕日が差し込む明るく広々とした丘につくられることになりました。

機能としては瞑想とヨガをする施設として作られ、その2つの機能を上手に分けるように長方形の床を2層にした形態が採用されました。

35m2の上階は、1〜7人のヨガセッションが可能で、下部のテラスは、この内省的な空間と夕日が差し込む景色に向かって思いを馳せれるような場に作られています。

番外編:ストックホルム中央駅 1871年 1927年 1951年 2011年

Wikipediaより

最後に紹介するのは、ストックホルム中央駅です。なぜ、番外編かというと改築や増築を重ねた、歴史ある建築だからです。

その歴史は駅は1867年から1871年にかけて、アドルフ・W・エーデルスヴァルトを設計者として建設されたところから始まります。1925年までは線路が駅に通じていましたが、1925年から1927年にかけての改修工事で線路は西側に移動し、かつてのトラックホールは長さ119メートル、幅28メートル、高さ13メートルの巨大な待合室に改築されました。この改修工事で、南側のパビリオンが建設され、駅が南側に拡張されることになります。この部分は現在、会議施設になっている。会議施設の隣には、王室が列車で移動する際に待機する王室待合室があるそうです。

1951年、ファサードが一部変更され、よりシンプルな外観になりました。1958年、T-Centralenへの地下道が開通しました。それでも、通勤者を抱えられなくなり、2017年には通勤列車を1km離れた別の駅、ストックホルム・シティ駅に移しています。

なかなか、全体像を把握しにくい建物ですが、その歴史と共にじっくり見れば、改築のあとや計画の苦労が想像できるかもしれません。

最後に

以上、長くに渡ってストックホルムの古典的名作から、現代建築まで25個選んで紹介してきました。

このほかにも沢山、興味深い建築は存在するので、是非訪れた際にはこれ以外の自分だけのお気に入りの建築を見つけてみてください。

最後まで、お読みいただきありがとうございました。

ではでは。

About the author

衣食住、旅人本に興味がある。アウトプットメインですが読んでいただければありがたいです。

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