この記事ではフィンランドの小都市であるセイナッツァロにあるアアルトの実験住宅であり、夏季休暇を過ごす場所(夏の家)であるコエタロ(コエ・タロ、koetalo)の簡単な解説と向かった際の現地情報と図面やスケッチが見れるサイトを紹介していきたいと思います。
コエタロついてよく知りたい、現地ガイドの言葉や情報を知りたいという方にはお勧めできる記事になっていると思いますので、興味ある方はよければご覧ください。
目次
1、基本的な解説
建築家のアルヴァ・アアルトとエルサ・カイサ(エリッサ)・マキニエミ(後にミセス・アアルトと呼ばれる)は、夏の別荘を作るための場所をパイヤンネ島の海岸に見つけました。
彼らは、1940年と1950年の間にサイナットロ市庁舎の設計と建設工事の監督をした際に、サイナットロの町を詳しく知りました。アアルトはこの場所をとても気に入りました。そして、レンガ造りの母屋(1952年)が岩場のあるこの土地に最初に建てられ、その1年後には木造のゲストハウスと薪小屋が完成した。最後に、1954年には松の丸太で作られた湖畔のサウナが建てられました。
1952年当時、ムウラツァロ島と本土を結ぶ橋や道路はまだありませんでした。つまり、この島にくるためにには、湖を渡ってこなければ、行けなかったのです。
そこでアアルトは、自分のために船を設計し、材料なども島の外から取り寄せ作ったそうです。すごい情熱ですよね。では、そんな情熱でできたコエタロの機能を詳しく見ていきます。
2、コエタロ(夏の家)の機能の紹介(現地写真付き)
2−1、アプローチ
現在は島には橋がかかり、道路網を整備されたことによって、コエタロに向かうことはそう難しいことではありません。それでも、コエタロにたどり着くまでにはアスファルトの道を逸れ、林道を5分ほど歩かなければいけません。そのアプローチから、とても綺麗な景色が広がりますので、それも必見です。
2−2、母屋
2−2−1、母屋概要
本館には、ラウンジとアトリエバルコニーのある仕事場、キッチン、3つの寝室、バスルームがあります。この建物の図面には、寝室がアシスタント・ルームと呼ばれているものがありますが、これは夏の間、建築家事務所の社員がこのサマー・レジデンスで、ここで仕事をするという計画だったようです。しかし、この計画は実現しなかったようです。アアルトは夏至の日から一ヶ月間、夏休みとして、サマー・レジデンスで過ごしました。アルヴァ・アアルトの夏の趣味は、水泳、読書、絵を描くことなどであった。アルヴァ・アアルト夫妻の夫婦生活は、夏の間は特に非常に生き生きとしたものになったようです。
この夏の邸宅は、構造体に実験的な要素が盛り込まれていることから、「実験の家」と呼ばれてきました。アルヴァ・アアルトが言っていたように、この住宅は「仕事の実験室と遊びの精神であり、遊びの実験室と仕事の精神」を結びつけるものでした。中庭の外壁は、建築材料としてのレンガの実験に使われました。壁は50の異なるレンガとタイルのフィールドに分けられており、アールトは、異なる種類、形状、接合スタイルのレンガの耐久性をテストしました。そして、1年の異なる季節、異なる光あたり方の中でのどのようにそれらがどのように見えるのかのテストしたいと考えていました。
当初の計画では、太陽熱利用システムの実験や、自由形状のレンガ構造の実験も行うはずでしたが、これらのアイデアはそれ以上発展することはありませんでした。その当時から、太陽熱利用システムの実験を考えるところは自然や材料に気を使ったいたからこそ出てきる発想なのかなと思いました。その思想は現代でも参考にできるものなのではないかと思います。
2−2−2、母屋外観
この家のゲストウイング部分は、地石と斜めに立てた丸太の上に建てられていますが、これは基礎のない建物がどのように機能するかを試すためです。また、薪小屋は自由形状の柱の実験です。建物の構造を支える木の柱を、できるだけ地面の良い場所に自由形状で配置しています。
また、この家の大きな特徴はみる面によって大きく、印象が変わるという点です。
上の2つの写真の外観が1つの建物に共存しているのです。その素材の操り方と平面、断面計画は見るものを楽しませてくれます。シンプルなようで、複雑、複雑でありながらシンプルそんな印象を受ける外観となっています。
2−2−3母屋内観
母屋の内部やとても素朴なデザインとなっています。アアルト建築の美しさはその飾らない自然体の美しさの中に隠れているものだと思っていますが、それをまさに感じるような内部設計になっていました。
例えば、この個室も面積的にはさほど広くなく、フィンランドを代表する建築家の別荘の部屋とはあまり想像することができませんが、部屋の雰囲気は落ち着いた、穏やかな雰囲気に満ち溢れており、ここでのんびりを過ごす夏休みは精神的にとても優雅な時間なのだろうなと思いました。物質的なものに満ち溢れておらず、しかしあるものデザインはとても洗練されている。そんな素敵な空間でした。
2−3、サウナ
また、敷地内に設置されたスモークサウナも、遊びと実験のアイデアを継承しています。骨組みの手法は伝統的なものですが、扇形の配置や丸太の置き方が従来とは異なり、丸太の太い根元が常に同じ方向に配置され、壁の構造が傾斜した勾配屋根を形成しています。
自然の形を生かしながら形態的操作をしているところには感動しました。このようなあるがままを生かすという発想は取り入れたいものです。
扉の取手も木の枝をそのまま生かしたデザインになっていました。素朴なもので美しさが表現されていました。
3、図面情報やスケッチが見ることができるサイト
最後にこのコエタロ、夏の家の図面が入手する方法をお伝えしたいと思います。アアルトの関連の本はたくさん出ており、コエタロ、夏の家は代表作の1つなので、図面はそれらの書籍からも入手できると思います。しかし、より手軽に見たいという方にはwebサイトがおすすめです。
こちらのサイトはアアルト財団が運営している正式なサイトでここで、当時の図面の画像データを入手できると思います。ご参考になりましたら、嬉しいです。
また、このサイトではコエタロの現地ツアー予約や現地の地図の閲覧などもできますので、もしよろしければそちらもチェックしてみてください。というか、現地訪問にはツアー予約が必須のような書き方がしてありましたので、いきたい人はチェックしてから向かった方が良いと思われます。
4、最後に
以上で、アアルト設計のコエタロ、夏の家の簡単な解説と向かった際の現地情報と図面やスケッチが見れるサイトを紹介は終わります。
コエタロ、夏の家の近くにあるセイナッツェロの村役場の情報はこちらに載せていますので、よければご覧ください。
また、アアルト生誕の地ユバスキュラのアアルト建築情報もこちらに載せていますので良ければ、ご覧ください。
最後まで、読んでいただきありがとうございました。