この記事ではノルウェーの首都、オスロにある有名な建築を紹介する記事になっています。
古典的な名建築から現代建築まで様々な建築時系列で扱っていますので、建築や都市計画に興味があるよって人はオススメできる記事になっていると思いますので、よければご覧ください。
では早速ですが、オスロの建築の世界に入っていきましょう!
目次は以下のようになります。
1、オスロの建築をよく知るための基礎情報
ここではオスロの本当に基礎的な情報を載せています。
ある程度、ノルウェー やオスロについて知ってるよって人は読みとばしてもらってもらっても大丈夫だと思います。
では、まいりましょう!
1−1 都市人口と大きさ
北欧に位置するノルウェーの首都のオスロは人口70万人程度の都市です。これはノルウェー全体の13%程度です。
オスロ市の人口は現在も毎年約1万人ずつ増え続けているそうで、この増加ペースは他のヨーロッパ諸国と比較してもかなり速いペースだそうです。
オスロ都市圏は郊外に拡大しつつあり、恐らく増えた人口を抱えるためだけの建設が行われる予定であろうと考えられる都市になっています。
1−2 オスロという言葉の意味
オスロという地名の由来としては、古いノルウェー 語から来ている、オスロ中心部、ビョルヴィカにつくられた最古の農場の名前であるなど、様々な説が存在するそうです。
他にも中世には’Ásló’と綴られていたが、後に’Ósló’となったことから、初期のスペルの’ás’は、エーケベルグの尾根のふもとに町があることを示唆するという説や、同音異義語の「神」や「神格」に由来するものだという説もあるそうです。
1−3超ざっくり歴史
ノルウェー版の古事記的な書物サガによるとオスロが設立されたのは1049年とされているそうです。
しかし、実際にはもう少し前、西暦1000年よりも前にコミュニティは形成されていたことがわかっているようです。
オスロが公式に首都となったのは1299-1319年の間で、アーケシュフース城の建設を命じたホーコン5世という人物によって行われたそうです。
後にノルウェーはデンマークから内政干渉を受け、オスロは州都に降格にします。そして名前もクリスチャニアという名前に変えられてしまいます。
しかし、1814年にデンマークとの連合が解消され、スウェーデンとの同君連合下で自治を獲得し、クリスチャニアは再び首都として返り咲きます。
そして、ノルウェーの完全独立後の1925年オスロの名に戻りました。
このことからわかるようにオスロの都市を本格的な形作り、アイデンティティを形成し始めるのは19世紀以降のオスロがデンマークから独立した時期からになります。
2、オスロの建築10選
では、ここからオスロの名建築を10つほど紹介したいと思います。
先ほど述べたように、現在のオスロの基礎骨格になっているのは19世紀以後の建築になっていますが、それ以前の建築を1つ紹介したいと思います。
2−1 オスロ大聖堂(1697年)
まず、オスロの最も古い建築の1つであろうオスロ大聖堂から紹介します。
1697年に建設された大聖堂ですが、それ以前に作られた建物がなかなか見つからないのは1624年にあった大火によって、大方の建物は消滅してしまったためです。
そのため、オスロ大聖堂はオスロの歴史を示す重要な遺産でもあります。
大きな塔が特徴の建物で、大火からの復興を示す役割もあったのかなーと勝手に想像を膨らませてしまうような壮麗な建築です。
2−2 ノルウェー王宮(1848年)
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まず、紹介するのはノルウェー の王宮。建設年は1848年です。
1814年にデンマークとの連合が解消された30年越しの建設になりますね。
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綺麗な長方形で、どこか古代ギリシアの神殿を想起させるような形をしています。
これは当時流行っていた新古典主義の特徴です。
新古典主義建築とは 18世紀の後期にフランスではじまった建築様式で、古代の建築を理想とするものです。
なので、どこか古代ギリシアの神殿を想起させるような形をしているんですね。
2−3 オスロ大学法学部校舎(1851年)
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ノルウェー 王宮から徒歩で3分のところにあるのは、オスロ大学法学部校舎です。
建設年も王宮ができた3年後とかなり近いものになっています。
当時のオスロ市の主任建築家として活躍したクリスチャン・ハインリッヒ・グロッシュが設計を行ったそうです。
こちらも様式としては新古典主義となります。王宮と似ていますが、縦横比が王宮と比べ小さいためか、より重厚な印象を受け、より古典的な雰囲気を感じます。
基礎案はドイツ、当時のプロイセン王国の建築家であるカール・フリードリッヒ・シンケルのものだそうです。
その後、デンマーク生まれのノルウェーの建築家で,オスロ市の主任建築家として活躍したクリスチャン・ハインリッヒ・グロッシュが設計を行ったそうです。
2−4 オスロ国立美術館(1882年)
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「オスロ国立美術館」(1882年)は,ノルウェーで初めて作られたの公立の美術館です。
設計はノルウェーの歴史的建築に関わった建築家親子の共作だそうです。
父のハインリッヒ・エルンスト・シルマーはドイツ生まれで、オスロ大聖堂の修復責任者としてノルウェーに赴いて,建築設計事務所を開設しました。その後、途中まで国立美術館の設計を担当しましたが,関係者との意見から,オスロで生まれた息子のアドルフ・シルマーがプロジェクトを引き継ぎ完成まで導いたそうです。
こちらも様式としては新古典主義になります。
2ー5 旧ノルウェー銀行本社(1906年)
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少し場所を移したところに20世紀のはじめ、1906年に建てられたノルウェーの代表建築、旧ノルウェー銀行本社があります。
正面の外観は依然として、左右対称で新古典主義な雰囲気を感じますが、備えるが,外壁はレンガをそのまま剥き出しにして重厚な印象を感じさせます。
設計者はオスロに生まれのイングヴァール・ヒョースという建築家です。
元々彼はれんが職人でしたが、オスロとベルリンの工芸学校で学び,旅行や海外滞在をとおして建築家としての作風を築いたそうです。
この頃から、オスロ生まれの設計者が出てき始めることで、ノルウェー は自国の建築アイデンティティを探し始めます。それはどことなく、日本にも通じるところがありますね。
2−6「オスロ市庁舎」(1950年)
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オスロ市庁舎は、オスロの中心部ピーペル湾の港に面して建っています。
レンガ造りの重厚な建築物です。
特に大きな見どころとなっているのが1階のメインホールで、ここは毎年12月にノーベル平和賞の受賞式が行われることでも有名です。
完成したのは1950年と第二次世界大戦後ですが、設計コンペの当選者は1918年に発表されま
その後、1931年に起工式が行われ20年近くの期間を経て完成に至ります。
この時期になると左右対象といった新古典主義への傾倒は少なくなり、より独自の建築スタイルを作ろうとする姿勢が感じられます。
以上、新古典主義をメインにした建築を見てきました。
続いて、現代建築に参りましょう!
2ー7、オスロオペラハウス(2007)
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オスロの現代建築を語る上で欠かせないのが、オスロオペラハウスです。2007年に完成したこの建物は今ではオスロのシンボルになりつつあります。
大きな特徴は地面から続いているそのまま登れてしまう屋根。子供の頃に夢見たような形の建築が実現されています。
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コンセプトは”The wave wall”
オペラとバレエは、ノルウェーではまだ若い芸術です。これらの芸術は、国際的な舞台で進化しています。
ビョルヴィカ半島(オスロが位置する半島)は港町の一部であり、歴史的に世界との出会いの場でもあります。
地上のと水上のを分ける線は、現実的な境界線であると同時に象徴的な境界線でもあるのです。
陸と海、ノルウェーと世界、芸術と日常生活の出会いの線上に様々な境界線に建つ建築だからこそ、波の様な大きな壁というコンセプトが良くフィットしているのかもしれません。
2−8 現代美術館 The Astrup Fearnley Museum of Modern Art (2012)
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アストルップ・フィーンリー近代美術館は、ノルウェーのオスロにある民間の現代美術ギャラリーです。
元々は1993年に開館しました。
その後、2012年に世界的に有名な建築家、レンゾ・ピアノが設計した新館2棟に移転されています。
木材を覆う帆型のガラス屋根を、細い鉄骨柱が支え、内部の現代美術の幅広いコレクションを柔らかな自然光で照らしています。
一段一段、小さなアートスペースが橋で結ばれ、公園や広場の方へと視界を導き、内と外をつないでいます。
海に面していることから、自然と触れ合い、泳ぎ、都市生活を楽しみながら、アートに思いを馳せることができ、小さな街のようなに感じるような建築です。
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2−8 Deichman Library (2020)
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次に紹介するのは2020年に建てられた図書館。オペラハウスの隣に位置します。
外観の最大的な特徴は最上階のはみ出し、専門用語ではキャンチレバーと言います。
最大20メートルも飛び出しており、構造設計の人はかなり頭を悩まされてたんじゃないかなと想像できる建築です。
なぜ、このような飛び出しが設計されているかという隣のオペラハウスを隠さないかつ、図書館の面積も確保するためにこのような形に至ったようです。
確かに上の写真からもわかるようにはみ出しの下に構造物があるとイメージすると横にあるオペラハウスが隠れてしまうことがよくわかると思います。
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内部も面白い構成になっており、中央にある大きな吹き抜けを周遊するようにそれぞれの図書コーナーが設置されており、移動中も様々な本が目に入るように設計されています。
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2−9 ムンク美術館(2021年)
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最後に一番最近にできた代表建築、ムンク美術館を紹介します。
その名の通り、ムンクが生涯に渡って書かれた絵画が展示されている美術館です。
美術館というと一般的にはそこまで高層でなく、平面的な形態でユニークな形のものが多いと思いますが、そんな常識を覆したのがこのムンク美術館です。
階数はなんと12階まであるという縦長な美術館になっておりながら、一般的なビルの形態に収まることなく、ユニークな形態で、どこかムンクの絵画のような危うさのようなものを感じます。
そんなユニークな形態のムンク美術館ですが、2020年代に建てられたということもあり、かなり環境にも配慮した建築になっています。
カーボンフットプリントの最小化、持続可能性、リサイクル性、メンテナンス性など、建築プロセスそのものが実験とイノベーションを中心とした実験的な建築です。
透明度の異なるパンチングアルミニウムで仕上げられたファサードは、オスロの気候が生み出すわずかな刺激に反応し、時間帯によってまったく異なるイメージを生み出すように作られているそうです。
今回、私は残念ながら夜の写真しか収められなかったのですが、是非気になる人は時間や日を置いて異なる表情のムンク美術館を楽しんでみてはいかがでしょうか?
3、番外編
建築ではないのでここには載せなかったのですが、建築や都市に興味ある人には是非紹介したい民族博物館とオスロの地下再開発を紹介したいと思います。
ここに書くと少し冗長になってしまう気がしたので、別記事にしましたので、気になる人はこちらもご覧ください。
4、最後に
以上、オスロにある代表的な建築を年代順に見てきました。
この記事で、それぞれの建築がどのような経緯、思いの中で作られ、オスロという都市がどのように形成されてきたのか、その片鱗に触れたと感じてもらえていれば幸いです。
なお、今回紹介した建築たちの解説をgoogle mapと一緒にみたいよという方は以下のページに私が作成したgoogle mapのダウンロード方法が載っていますので、こちらをご覧ください。
自分の現在地がわかり、紹介した建築の場所もわかり、簡単に行き方が確認できて、フリックすれば、ブログに載せてる解説がこのページに戻らずとも瞬時にみれる。そんな良ツールになっていますので、よろしければ、ご覧ください。
以下ページです。
https://note.com/bunzakki_/n/n543823cfec62
ノルウェー に関連した記事は他にも書いていますので、よろしければ、そちらの方も覗いて見てください。
最後まで、お読みいただきありがとうございました。
ではでは。